思考の整理とは、いかにうまく忘れるか#0007

投稿者: | 2020年2月11日

思考の整理学

タイトル:思考の整理学

著者:外山滋比古

この本を買ったときには帯が付いていて、そこに書かれてたのは、

東大・京大で最も売れた本。”もっと若い時に読んでいれば。。。”

と書いてありました。すでに私は1回目の大学生活は終わっているて、まさに後ろに書いてある通り「若い時に読んでいれば」という歳で手に取ったところです。実際読んでみて、思ったことは、

「いや、別に若い時じゃなくても今読んでも十分役に立つことかいてあるけど。」

ですね。詳しい内容については本を手に取ってもらうのが一番ですが、さすがよく売れている本ということで、たくさんweb上に書評があがっていますので、そちらを読んでみてもいいと思いますよ。そちらを読んでもらった方が、要点がまとめられていて(まあ、個人差はありますが)、読みやすいのではないでしょうか。

私は、いつも通り、個人的に気に入ったワードを紹介します。

“思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である”

この記事のタイトルにもしました。古典化ということも併せて記載されている章にあった言葉です。古典は、書かれたときには、その当時に価値はあるのかもしれません(ないものあります)が、それが時間を経て本当にいいもののみが「古典」という形で今に残る。それと同じで、思考も寝かせる時間を設け、ノートからノートに移し、エッセンスを凝縮したものこそが、本当に価値がある思考であり、このプロセスが思考の整理である、と述べています。(だいぶ私の言葉が入ってしまっていますが。。。)それが、つまり「うまく忘れるということなのですね。

“自分の想像力、直観力、知識などをその限界まで総動員して、ついには”自分の解釈”に至るというような思考的読書”

こういう本の読み方は大事だな、と思って載せました。齋藤孝さんの「読書力(岩波新書)」(以前紹介しています「精神の心地よい緊張を伴う読書のススメ#0004」)に「精神の緊張を伴う読書」という言葉がありました。まさに同様のことを言っていて、漫然と読書をするというものもいいかもしれませんが、自分の頭をフルに使って「読み解き」、そして「自分の解釈」に達する。こういう読書が思考力を高める、ということでした。そういう、本と出合う、また出会うような気持ちで本屋に行くと、新たな発見があるかもしれませんね。

“ブレイン・ストーミングはこうして、いろいろな考えを引き出すのだが、はじめのうちに出てくるものは、多く常識的で、さほどおもしろいものではない。もうあらかた出つくしたというところで、さらに頭をしぼっていて生れるのが、本当に新しい、これまでは夢にも考えられなかったようなアイディアである”

ブレイン・ストーミングは最近日本企業でもよく取り入れられている思考方法ですね。グループで行ったり、個人で行ったりと応用の幅は広いです。私もたまにやります。その時にはマインドマップと併用して頭の中を整理しています(これについてはいつか記事にしたいと思います)。ここで外山さんが言っているのは、「限界の先に、本当に新しい価値の思考がでてくる」とうことでした。とかく、ブレインストーミングをやると、出てきた意見を「これらをまとめよう」ということに注視してしまい、参加者の合意形成をすることが目的になってしまうことが多々あります。本当に新しい、斬新なアイディアを出すことが目的だったのに、これでは意味がなくなってしまいます。だから、「もう少し粘れ!」ということなのかもしれません。

“コンピューター”

この本の初版が1984年でした。まさにこの本の「コンピューター」というところで述べられていることは、今私たちが「AIに人間の仕事をとってかわられる」という議論と同じことをしていました。1984年当時はAIというものはなく、コンピューターということで議論が進んでいました。産業革命で人の働き方が変化し、まさに1980年代にはコンピューターにより働き方が変化し、そして今はAIにより働き方が変わろうとしているとでも言いたそうな、内容でした。「思考」はコンピューターではなく、人間がもつ能力で(将来はわかりませんが)あって、これを守り、強化することが必要だ、と述べられています。
AIもある一定の思考を持っていると私は考えていますが、人間の思考とは違う点が多々あることが、この本で気がつきました。例えば「忘却」ですね。こういった違いがあるということは、AIと人間はそれぞれ最適な場面でそれぞれが役割を果たす、共存の形になっていくのではないかと、この本を読み終えたときに思いました。あ、これは私の私見ですので、あしからず。

【終わりに】
なかなか、面白かったですね。哲学的な面から「思考とは」と書かれていました。若い人が読んだらそれはそれでいいと思います。外山さんの教育に対する思いのようなものも書かれていますので、大学生は参考になると思いますよ。また、卒業論文などの執筆を予定している大学生には役に立つと思いますよ。

※あくまで私が私の目的で読んだ時の感想です。

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