タイトル:芭蕉のことば100選 深くて、面白くて、ためになる
著者:境野勝悟
ふとテレビを見ていたら、芸能人が俳句を詠んで、俳句の先生が評価する番組がやっていました。教育テレビとかではなく民放のゴールデンタイムに俳句をやっているなんて、ブームなのかな、と思ってしまいました。そんな番組を見たこともあり、近くのコンビニの文庫本コーナーにたまたまあった「俳句」の本を手に取ってみました。
本の題目の通り、100個の俳句が並んでいて、それぞれに著者がこういうことを表現している句、ということを解説してくれている一冊。
松尾芭蕉といえば、「古池や 蛙飛びこむ 水の音」ぐらいは知っているので(常識ですかねw)いつ出てくるかとページをめくると、なんと「はじめに」でさっそくお目見え。勉強不足でした。ほかにも「五月雨を 集めてはやし 最上川」とか、一度は聞いたことがある俳句が並んでいました。俳句って、短い言葉の中に、詠んだ人の気持ちが凝縮されている、と思うのですが、私は無粋なためあまりその気持ちを上手に受け取れないのです。そこでこの本では俳句と解説が見開きで書かれていたので、見やすかったです。「ああ、俳句ってこういう風に解釈するんだぁ」とか「これも俳句なのかぁ」とか、つぶやきながらあっという間に読み切っていました。
ちょっと聞いたことない俳句&ちょっといい話、と思ったので二つ紹介します。
①“今このときを、こいざらめ”
今このときを、恋人を慕うような気持ちで、丁寧に、ありがたく、生きていこう。
「心配事ばかり頭に浮かぶ、という人へ」という項に書かれている芭蕉の句。明日のこと、先のことは、気にしない、どうせ、今この時しか生きられないのだから、とうこと。だからこそ、今このときを、恋人を慕うような気持ちで、丁寧に、ありがたく、生きていこう、という意。自分は心配事ばかりをして、身動きが取れなくなっていまうことがあります。そんなとき、「まあそんなに考えてもしょうがない。今、この時を生きましょう」と思えたら最高ですね。
①“能無しの 寝た我を ぎょうぎょうし”
「才能は、ない。しかも怠けもの」と芭蕉はいつも思っていたそうです。現代の我々でも知っている俳句という言葉の並びを、生み出したのは「才能」じゃないのか、と思うけれども、そういう天才こそ「驕らない」ということなのでしょう。確かに、周りのすごい人は、驕っていませんね。
【終わりに】
俳句って、奥が深いな、と思ったと同時に、結構現代生活にもフィットした読み方ができるんだな、と思いました。時を超えて共感を誘うとは、やはり松尾芭蕉は天才なんだな、と感じさせる一冊でした。
文量がさほどなく、寝る前にゆっくりと数日かけて読むのがおすすめです。ぜひ、ご一読を。
それでは。
※あくまで私が私の目的で読んだ時の感想です。